「シェイプ・オブ・ウォーター」、主演女優賞&助演男優賞スピーチにも注目ーアカデミー賞

 第90回アカデミー賞授賞式の直前、最多13部門にノミネートされていた「シェイプ・オブ・ウォーター」に、盗作疑惑があるというニュースが流れた。とある戯曲に酷似していると遺族が提訴、ギレルモ・デル・トロ監督は「見たことも聞いたこともない」と疑惑を一掃したが、アカデミー会員による投票が行われている時期だったこともあり、この中傷が受賞結果に影響を及ぼすのではないかと懸念されていた。
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 結果は、作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞の4部門での最多受賞という快挙を達成。とにかく「シェイプ・オブ・ウォーター」の名が呼ばれるたびに、歓声があがる。主演女優賞にもノミネートされていたサリー・ホーキンスのそよ風のような笑顔が大映しになる。愛されているクリエイターたち、愛されている映画だったのだと実感した。
 監督賞がデルトロなら、作品賞は「スリー・ビルボード」とも囁かれていたが、サム・ロックウェルが助演男優賞、フランシス・マクドーマンドが2度目の主演女優賞に輝く結果となった。その2人の受賞スピーチが実にインパクト大で、話題を集めた。
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飾らないキャラクターで知られるロックウェルは、ステージ上でも気取ることなく受賞の興奮の熱を会場に伝える。手にしたばかりのオスカー像を足元に置いて、

「映画好きだった両親に感謝したい」

と述べ、おばあちゃんの具合が悪いからと学校に迎えに来た父親が、「おばあちゃんはピンピンしてる。さ、映画観に行くぞ」と言って映画館に連れて行ってくれたエピソードを披露、会場を和ませた。
francis2.jpg ロックウェルの受賞を母のような眼差しで見ていたマクドーマンドは、自らの受賞スピーチの後半、「ノミネートされた女性、立ってみてくれる?メリル、あなたが立てばみんな続くわ」と会場に呼びかけた。そしてその数の少なさに会場の注意を促した。マクドーマンドは、映画制作の世界において男女雇用機会均等を訴えた上で、

「最後に伝えたいメッセージがあります。みなさん、〝inclusion rider″という言葉を覚えておいてください」

とスピーチを締めくくった。
英語ネイティブでさえ、首をかしげたこの「inclusion rider」とは、契約書の用語で

「映画界において、キャストとスタッフの多様性を前提とする条項」

を指すのだそう。「inclusion」とは、女性・少数民族・LGBTの人々が、映画に相当数出演、およびスタッフとして参加している状態のことで、つまり、これを条項に盛り込むことで、そうではない映画には出演しない、と表明していることになる。
マクドーマンドは、影響力を持つ大物スターがまず声をあげていくことを訴えかけたのだ。もちろん、自身も含めて。

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