作品の一部になる-実体験型デジタルインスタレーション

 

現在のシンガポールらしさを感じるなら、アートサイエンスミュージアムは必ず訪れてほしい。地元民にも観光客にも人気の「FUTURE WORLD」は、日本語的な意味での“アトラクション”とも’呼べるほど大盛況のアート作品だ。
実体験型デジタルインスタレーションが1500平方メートルの広さに作られており、部屋ごとに異なるテーマ、モチーフのデジタルアートが展示されている。展示といっても、どれもインタラクティブ(相互作用の、双方向の)であることがポイントで、自分対作品、という接し方ではない。作品の“中に入る”“一部になる”感覚を味わえるのだ。

生き物のようにも見える波の迫力

例えば「自然ゾーン」の「ブラックウェーブ」は、日本絵画の手法で描かれた海が映し出された、厳かささえ感じる作品。水の動きがまるで生き物のようにも見え、白い泡の粒子と曲線美が迫り来る。

花が生まれて散るまでのはかなさを描く

「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる / Flowers and People, Cannot be Controlled but Live Together – Dark」は花が生まれ、成長し、つぼみをつけて花を咲かせ、枯れていく様を描き出す作品。上の作品と同様にコンピュータープログラムによってリアルタイムで描かれ続けているため、同じ絵は二度と見ることができない。また観る人の動きに影響を受け、じっとしている人、手を触れる人、足で踏んでみる人、それぞれに対して花が一斉に咲き渡ったり、散ったりする。

17万個の光の粒子と一体化する

「宇宙ゾーン」では、無数の光の粒子が幻想的な空間を作り出す「クリスタルユニバース」が出迎える。4-Dビジョンテクノロジーと17万個ものLEDライトが駆使して生み出された、息をのむ圧倒的な作品だ。
観る者の存在と動作に反応し、構成される光の世界。デジタルは人の心、情熱、夢や希望といったものと繋がることができるのだと実感させてくれる、唯一無二の作品である。
まだまだ書ききれない魅力的な展示が多数の「FUTURE WORLD」。アートにもデジタルにもゆかりがない人ほど、受ける衝撃は大きいはずだ。