アジアの新しい才能、宮崎大祐

「SPECTERS AND TOURISTS 亡霊たちと観光客」(2017年)が、シンガポール・アートサイエンスミュージアムとシンガポール国際映画祭による共同企画として開催された。
手がけたのは宮崎 大祐という人物だ。
世界の映画界、そしてシンガポールでも今注目されている映画監督で、脚本家、プロデューサー、小説家、現代美術家でもある。
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©ArtScience Museum
エキシビジョンの中へ足を踏み入れると、まず迎えてくれたのは、「End of the Night」。
不況や犯罪など社会に蔓延する闇に焦点をあてて描く、現代日本を舞台とした作品だ。自分の両親を殺した男に育てられたアキラは一流の殺し屋となるが、初めての仕事で死を看取った少女の面影をいまだ忘れられずにいた。ある日、その少女とそっくりな女に出会ったことから、アキラの日常はより深い闇に包まれていく。
映像の質感がどこか昭和の風景にも思え、日本人でありながら、ざわざわっとさせられる映画だ。
そしてもう1つが「Specters and Tourists」(下)。
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「Specters and Tourists」©ArtScience Museum
メインビジュアルからは明るい印象が先行するが、実際に観てみると違う。
2人の少女が普通のシンガポール旅行に行く様子を負ったフィルムだが、
冒頭から危うい予感を漂わせている。
どこにでもいる日本人観光客の姿。でも、ぐいぐい引き込まれるテンポの妙。
言葉で説明するのが難しい、独特の温度を帯びている。

各国から賞賛される日本人監督の一人

宮崎監督は2011年、綾野剛主演の「孤独な惑星」で脚本家デビューをし、同年、「夜が終わる場所」で映画監督デビュー。トロント新世代映画祭で観客賞を受賞した。
同作は南米最大のサンパウロ国際映画祭など世界中の国際映画祭に出品され、アトム・エゴヤンなど名だたる映画関係者たちから絶賛されている。
2013年、イギリス・レインダンス映画祭の選定する「今注目すべき、七人の日本人インディペンデント映画監督にも選ばれている。
そして2014年、4年ぶりの日本人監督としてベルリン国際映画祭タレントに選出され、
2015年、ベルリン国際映画祭で出会ったアジア(中国、タイ、シンガポール)の映画製作者たちとオムニバス映画「Five to Nine」を共同制作。永瀬正敏主演による日本パートの監督を担当した。
中華圏のアカデミー賞と称される、台北金馬影展など、世界中の映画祭で上映され、タイの巨匠アピチャートポン・ウィーラセータクンから「アジアの新しい才能」と称えられた。
2016年、日米共同制作の長編二作目となる「大和(カリフォルニア)」を発表。
北欧最大であるタリン・ブラックナイト映画祭など20近い映画祭に招待されている。
アートサイエンスミュージアムでの企画展は12月17日で終了だが、今後もさらにシンガポールとの関りを深めていくことが期待される。

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